汚レ唄
「……侍ですか?」
少し間が空いて蒼が神妙な口ぶりでようやく話し出す。
が、なぜ侍??
どこから侍?
MATSUからどうやって侍にたどり着いた?
「ばーか。全然違う」
静は不機嫌そうに眉を寄せると雑誌をポイっと蒼へと投げた。
名前の由来……それは静が一番気にしていることだった。
「え〜っとMATSUは吉田松陰から……って」
……そう。なんでかMATSUだけ吉田松陰から。
社長のちょっとした茶目っ気からついた名前だった。
「普通そこはSHOじゃね?流れ的に!!おかしいよな?なんで俺だけ漢字からなんだよ」
運び込まれたビールに手をつけ、やけくそのように飲んでいく静。
「まぁまぁ……」
拓斗が静の肩に腕をまわし、落ち着くようにと肩をポンポンと叩く。
こんな光景いつものことだった。
「お前はいいよな!!すっげー有名人からの名前だし」
「はいはい、でもそこは社長の独断だからさ」