汚レ唄
「社長がな……だから何も言えずに今まで来たわけだけどさ。
どう考えてもやっぱおかしいでしょ?!」
グビグビと気持ちのいいほど、いい音を鳴らして飲んでいく静。
少し、やけくそに飲んでいるように、勢いよく喉を鳴らしていく。
「じゃあ、TSUBASAって何からとったんですか?」
うっ。
「あ〜……TSUBASAはな」
「ちょっと!!やめてってば」
それだけは蒼に知られたくない。
絶対やだ!!
絶対阻止!!!
気持ちは焦るばっかりなのに、拓斗はそんなことにも気付かずに蒼に話し出した。
あ〜!!あ〜!!!
「TSUBASAは特別なんだよな。社長なんかTSUBASAの声に惚れたもんだからとにかくTSUBASAに甘いわけよ」
またまた。
そんなことないし。
拓斗のギターも静のドラムの安定感も、則彦のベースだって岩井ちゃんの働きぶりだって、社長はとにかくみんなの力を認めていたんだ。