汚レ唄


「何?」

「何って、手でも繋いで帰ろうかなって」

「アホか」




キョウダイで手を繋いで帰るなんてありえないって。



小さな子ならわかるけど、私たち中学生だし。


ありえないありえないありえない!!!


蒼と手を繋ぐなんて想像しただけでも……寒気がする。

きもい!!




「冗談に決まってっしょ」

蒼がバカにしたように笑う。


ムカつく。


「わかってるし」


またまたプイっと視線をそらして歩き出す。


その後ろを今度は蒼が追いかけてくる。




「麻緋?怒ったわけ?」


まさか。

怒ってる振りをしてるだけ。


そんなことで怒らないって。




「麻緋??」


心配そうに顔色を覗き込む蒼はやっぱり可愛く思えて、なぜだか、ドキンと胸がなった。


おいおい。

弟にドキンって。




「もう怒ってないから!!早く帰ろう?」


そう言って笑うと、蒼はさっきまでの耳の垂れた犬のような顔から一変してシッポを振って喜ぶ蒼になった。


ドキンドキン。





可愛い。


素直に自分の感情を表に出す蒼が可愛い。
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