汚レ唄



「そういえば……クラスに中峰って奴いるじゃん?」


中峰……中峰……


「しらん」


「お前なぁ、入学してから3ヶ月たってんだから、クラスメートくらいそろそろ覚えようや」

「んなこと言われても……」



だいたい、俺は人の名前おぼえるのとか苦手だし。




「窓側の席、前から2番目」


友達はそういうと窓側へと視線を移した。




「あの坊主頭の……?」

「違うっつーの!!それは男子の列だろーが!!中峰は女!!その隣だ!!」



友達の大声にクラスにいた奴らが一斉にコチラを見ている。

そう、中峰本人も。




中峰は驚いたようにこちらを見ると目を細めてニコリと微笑んだ。


ぱっちり二重で大きな瞳、真っ白な肌。
ほんのりと赤らむ頬。



一言で言うならば可愛らしい。


食べ物で例えるならば“さくらんぼ”?





「……で、あの中峰がどうしたわけ?」

友達は、気持ち悪いくらい顔を赤らめた。




「すっげー可愛くね?」

「は?」

「儚げで、何ていうか……フワフワしててポワポワするんだぁ〜」






「……病気だ」
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