汚レ唄
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飲んだくれの父親に幻滅し、僕は人と関わることが怖くなっていた。
『人間堕ちるとこまで堕ちたら上がれない。』
これが僕の持論だ。
父は人間関係に疲れたと言っていた。
何年も何年もサラリーマンをしてきた父親がふいに漏らした言葉。
次の日から父親の酒飲みは始まった。
同時に僕の大嫌いな父の始まりだった。
昔の父は自信に溢れていた。
初めて挑戦することにも大きく笑い、何でも跳ね飛ばしてきた。
僕はその大きな背中が頼もしくカッコいい背中だと思っていた。
なのに、今では父の背中が小さく愚かな背中だとさえ思える。
あの、父がこんなになる程なんだ。
それほど、社会は怖いんだ。
あの父がこうなる程、人間関係は怖いんだ。
それなら、僕は人と接するのはやめようと、クラスでも隅の方の1人でいることを望んだ。
視力も悪くないのにメガネをかけ、髪を伸ばし、前髪は瞳が隠れる程長く伸ばし常に下を向いて歩いていくと決めた。