汚レ唄
オレンジ色の夕日を浴びた髪は、夕日のオレンジに染まる。
サラサラしている髪は、少しもいじっていないことを意味している。
少し背が低いけれど、それでも、日に焼けた肌は活発そうに見えた。
そして、チラリと見える白い歯からは八重歯が見えた。
この人がさっきのピアノを弾いていたのだろうか?
「聞いてます?」
再び流れる、低めの声に私はビクっと肩が震えた。
こんなことは初めてだった。
「ご、ごめんな……さい。綺麗な曲が聞こえたから……つい」
声すらも震えている。
情けない。
「本当?!」
男の子の表情はさっきとは違い、パァっと明るく太陽のように晴れ渡った。
その瞬間、ドキンと体中が熱くなる。
「え?」
「今の曲、本当に良いと思った?」
1歩1歩ゆっくりとこちらに向かってくる。
それも、満面の笑みで。
「凄く……素敵な曲だと思った。誰の曲?」
素朴な疑問だった。