汚レ唄
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「麻緋サンってさ、歌うまいって言われない?」
「……言われたことない」
「なんでだろうね」
そんなこと言われても、音楽の成績は並みの3だし、言われたこともないし。
「ん〜……、まぁ音楽の竹丘先生は音楽のこと何もわかってないし、麻緋サンの才能もわからないかもね」
「うん?」
「んーん、こっちの話。ねぇ、この曲知ってる?」
そう言いながら、再びピアノに触れる。
次に雅紀君が弾いた曲はどこかで聴いたことのある曲だった。
「♪♪♪ラ〜ララ〜だよね」
「月光」
「え?」
「この曲……月光っていうの」
「月光……」
「そう、ベートーベンの月光」
「綺麗な曲だね」
ゆったりとした曲。
綺麗なピアノの音。
ずっと、このままでいたい。