汚レ唄
《麻緋》1998【16歳】
雅紀君はもう、この国にいない。
だけど、彼は約束したんだ。
オレンジ色の夕暮れの中で。
2人で交わした約束は絶対2人の中にあり続けると信じてる。
もし、来年……約束が果たされなくても。
だって彼は、こんな所で普通の中学生をするような人ではないから。
彼は……ここにいるべき人ではないのだから。
もっと上を目指せる人だから。
だから、悲しくはないんだ。
寂しくもないよ。
キミが教えてくれたんだよ。
音楽が虹色の世界を持っているってことを。
キミと歌い合った時間は、今まで過ごしたどの時間よりも楽しかったから。
どの時間よりも優しくてあったかい時間だったから。
音を楽しむ音楽。
キミと楽しむ音楽。
音楽が私たちを会わせてくれた。
音楽が私たちを繋ぎとめた。
音楽が私たちを離した。
音楽が私たちを再会させてくれると信じて。
キミが楽しいと教えてくれた音楽を続けていれば、いつかきっと未来で会えるよね?
会える日が来るよね?