汚レ唄
「早く、中、見てよ」
蒼のキラキラとせかす瞳がなんだか眩しくて、私はただただ蒼に言われるまま封筒の中身を確認する。
中に入っていたのは薄っぺらな紙が2枚。
「これ……」
「麻緋の好きなバンドの野外コンサートのチケット」
「なんで……」
「言ったじゃねーか。
毎日ギター頑張ってるからって」
「蒼……」
今迄、こんなに嬉しく思ったことはあるだろうか。
蒼のことが神様に思えた。
「嬉しい?」
顔を覗き込んでくる蒼、この上目遣い。
やっぱり蒼は蒼だ。
「嬉しいよ」
胸があったかくてじんわりと何かがこみ上げてきて、ちゃんと笑えてるか不安だけど、にっこりと微笑んで返事を返した。
蒼はホッと一息ついて、
「よかったぁ」とまた笑う。
どうしてここまでしてくれるんだろうか。
「あっ!!お金……」
「いいよ。俺のオゴリ♪」
「ダメだよ。私よりお小遣い少ないじゃん」
「いいの。コンサート行ってさ、麻緋が何かを得たら、それで満足だ」
「本当にいいの?」
「いいの。その代わり、一緒に行こうな」
蒼……
いい男になって(涙)
お姉ちゃんは嬉しいよ。