汚レ唄
少し都会な街並みを俺たちは並んで歩く。
ジワジワと汗がこみ上げてくる中、さっきの気まずさをかき消すように無理に笑って歩いた。
ずっとずっと歩いて、
ずっとずっと笑ってた。
「あ〜!!ねぇ、あの雑貨屋さんはいってもいい?
ノートがもうないんだ」
中峰は俺の手を取るとそのまま雑貨屋さんへと突入していった。
「へ?お??」
突然繋がれた柔らかで暖かい手に驚き、そのまま引っ張られたことで体勢を崩しつつ、引かれるがままに中峰の後に続いた。
店の中に入ると、そこは男の俺には入りづらい世界だった。
メルヘンチックなその内装に驚きその場に立ち尽くす。
「蒼くん?」
「……何コレ?」
「なにが?」
キャラクターのノート、コップやらマグカップ、ぬいぐるみまであるかと思えばストラップやネックレスや指輪などの小物も揃ってる。
細々と所狭しと並べられている。
「なんか見てるだけで目が疲れる」
「蒼君っておじいさんみたいなこと言うんだね」
「おっ?!おじいさん?!」
「そうだよ。おじいさんだよ。
……あっ!」
中峰は何かに吸い寄せられるように、フラフラと歩いていく。
その先にはあまり似ていないキャラクターのキーホルダーが並べられていた。
「これ、可愛くない?」
「似てねーし」
「その似てないのが可愛いんじゃない」
細い指先でキーホルダーを持つと、中峰は笑って、俺の顔の隣に持ってきた。
「なんとなく蒼君に似てるかも」
「似てねーし」
「……おそろいでカバンにつけない?」
「……え?」
「ダメだよね!!そんなことしたら学校でからかわれちゃうし」
顔を真っ赤にして少し泣きそうになってる中峰を見ると、嫌だとも言えず。
「まぁお揃いはいいけど、それをつけるのは嫌だ!!」
「コレ、だめ?」
「だったらせめて、こっちのにして」
「……うん。ありがとう」
「じゃあ、これ、買ってくる」
2つのキーホルダーを持ってレジに向かおうとしたけれど、中峰が服を掴んでそれを制す。