汚レ唄
「だめだよ。私も買う」
「いいの。プレゼントしたいから」
「う〜ん……じゃあここはお言葉に甘えさせてもらって、後で、お茶おごらせて」
「おう」
俺はそのまま似てないキーホルダーを手にレジに向かう。
が、レジの前にちょっと気になるものが置いてあるのが目に入った。
何色もあるそれは、切れると願いが叶うといわれている……
「ミサンガだ」
サッカー選手もつけているのをみたことあるし。
いいなぁ、これ。
かっこいい。
俺の願いは何だろう。
俺の願いは……。
無事にキーホルダーとミサンガを買った俺は店の外で待たせている中峰の元に戻った。
「遅かったね?並んでたの?」
「あー、違うんだ。レジの前にミサンガが並んでて、つい……」
「へー、ミサンガ?」
「うん。サッカー選手とか願掛けとして使っててさ。
すっごいカッコいいなぁって思ってたから」
袋の中身を取り出し、中峰に見せた。
「黄色いミサンガ?」
「そう。買っちゃったんだ」
「蒼くんにすごいよく似合うよ!!
それで蒼くんは何を願掛けするの?」
「俺は……」
「「内緒」」
思わずハモッた中峰は意地悪そうに笑った。
「蒼くん、いつも内緒って言うんだもん。さすがにわかるよ」
「そっか」
一緒に袋から取り出したキーホルダーを中峰に手渡す。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「あっ!待ってる間に考えてたんだけどね?来週の水曜日あたりにプールにいかない?」
「来週の水曜日?」
普通の中学生男子なら、付き合ってる子とプールなんてドキドキのワクワクなんだろう。
だけど、来週は
「ごめん。水曜日は用事があるんだ」
「そっかぁ。じゃあまた今度プールいこうね」
中峰はキーホルダーを今持っているカバンにつけた。