汚レ唄
《麻緋》1998【16歳】その3
1週間はあっという間に過ぎていき、遂に、コンサート当日になった。
「蒼!!どうじよー!!!!!」
私は蒼の部屋で泣いていた。
「急がなくてもまだ充分時間あるって」
「ダメなの〜!!早く行って1番前で見るの!!」
軽く溜息をついてる蒼に怒りつつ、私は再び自分の部屋に戻って着ていく服を選んだ。
コンサートってみんなどんな服を着ていくんだろ。
頑張りすぎて浮いちゃわない服で、なおかつ普段着的な?!
「何着て行こう??」
普通に出かけるときに着ていくとしたら、タンクトップに膝上までのデニムのスカートかな?
ちょうど暑いし、そんな感じでいいかも。
私はタンクトップとスカートを着ると蒼の部屋へと移動した。
「これでどう?」
蒼はベッドの上であぐらをかきながら雑誌を読んでいた顔を上げるけど、顔を真っ赤にしてまた雑誌に目をやった。
「蒼?」
「露出高すぎね?」
ぼそっと呟いて、コチラを見ようともしない。
露出?
肩とか??
でもこのくらい当たり前なんじゃない??
「みんなこんなもんだよ。ほら、窓の外見てみなよ。タンクトップの人いるじゃん」
蒼の窓から家の前を通り過ぎていく人たちを見下ろす。
「ばーか、あれは男だろ」
「まぁ、男の人だけど、女の人だってタンクトップくらい着るもん」
「はいはい。でもそれはやめとけ。」
「なんで??」
「麻緋には似合わない」
「…………」
私には似合わないって何よ。
この格好で何度も出かけてるし、今更似合わないなんて言われても。
ってことは、蒼はずっと、私がこの格好で出かける時は、似合ってない服着て何処行くんだかとか思ってたわけ??
なんなの?!蒼のくせに!!
彼女できたからって調子に乗ってさ!!
「蒼のばーーーーーーーーーーか!!!」
イーっと歯をだして乱暴に蒼の部屋のドアを閉めた。