汚レ唄



鳥肌なんかとっくに立ってる。


初めて生で麻緋の歌声を聴いた。


壁越しに聞いていたものよりも遥かに心を掴まれる。




こんな歌聴いたら、もう他の曲が聴けなくなる。


麻緋の歌声よりも癒される声は他にどこにもいない。




麻緋の歌声は、まるで神様のようだった。


聴けば聴くほど心の中を洗われるようだった。







優しく、柔らかく……包み込むようであったかくて、心の奥底を抱きしめてくれる。







震えが止まらなかった。


寒くもなんともないのに、麻緋の歌が心を震わせた。







麻緋はこのままここにいてもいい存在じゃない。


こんなに凄い歌を歌えるなら、もっと上を目指してもいいと思う。


14歳の俺はそれがどんなに大変なことかさえもわからなかったけれど、麻緋の歌は趣味で歌ってるレベルではないことだけはわかった。









それから数日後、麻緋は1歩前に進むことになる。





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