汚レ唄


「そんなことしてもダメ。お前のすること全部が計算に見えてくる」



じゃあ……。と椅子から立ち上がると、中峰は静かに泣いていた。




これでいいんだ。


多分最初からおかしなことだったんだ。



中峰を好きで付き合いだしたわけではないんだから。



振り返ることなくそのまま図書館を後にする。



よくよく考えると図書館で別れ話って人としてどうなんだろう。


ま、いいか。





中峰の気持ちを利用した俺が悪い。


最初から俺が悪い。





すれ違う人が俺の頬を見る。


自意識過剰なのかもしれない。


だけど見てる気がする。







「チィっ!!」


生意気にもやさぐれてる自分がまた惨めだった。


なんだかイライラする。


このイライラをどこで発散すればいいのか。






「ダァ〜!!!もう!!!!」


ワックスまみれの髪の毛を強引に乱す。


バカだ、俺は。




< 495 / 665 >

この作品をシェア

pagetop