汚レ唄
「そんなことしてもダメ。お前のすること全部が計算に見えてくる」
じゃあ……。と椅子から立ち上がると、中峰は静かに泣いていた。
これでいいんだ。
多分最初からおかしなことだったんだ。
中峰を好きで付き合いだしたわけではないんだから。
振り返ることなくそのまま図書館を後にする。
よくよく考えると図書館で別れ話って人としてどうなんだろう。
ま、いいか。
中峰の気持ちを利用した俺が悪い。
最初から俺が悪い。
すれ違う人が俺の頬を見る。
自意識過剰なのかもしれない。
だけど見てる気がする。
「チィっ!!」
生意気にもやさぐれてる自分がまた惨めだった。
なんだかイライラする。
このイライラをどこで発散すればいいのか。
「ダァ〜!!!もう!!!!」
ワックスまみれの髪の毛を強引に乱す。
バカだ、俺は。