汚レ唄
溜息混じりにボロボロの靴を脱ぎ捨てた。
玄関で棒つきのアイスを口に運ぼうとしている麻緋と目が合った。
麻緋はタンクトップにショートパンツという露出の高い格好だった。
アイスを食べかけた姿が恥ずかしいのが、麻緋は照れ笑いを浮かべながら、
「おかえり〜。アイスなら冷蔵庫にあるから」
と笑った。
「そりゃ、アイスは冷蔵庫にいれるでしょ」
俺は、そのまま麻緋の横をすり抜けようとした。
が、麻緋に腕を掴まれ立ち止まる。
「蒼?髪めちゃくちゃになってんよ?外は暴風?」
「まさか……めちゃ晴れ」
「ふ〜ん。そっか」
麻緋はそのままアイスを口に入れ2階へと上っていった。
はぁ〜。
俺はそのまま洗面所へ行き、手洗いうがいをして鏡を見た。
確かにめやくちゃになってる。
あ〜!もうどうでもいい。どうにでもなれ。
洗面台のシャワー型の蛇口の下に頭を突っ込み、髪についたワックスを全部洗い落とした。
タオルで髪を拭き、ついでにそのままタオルを頭に巻いた。
それから、冷蔵庫からアイスを取り出し口の中に入れた。
冷たくて気持ちいい。
そのまま自分の部屋へと入る。
夏休みの宿題が詰まったカバンを乱暴に投げ捨てた。
こんなの俺じゃないのに、俺らしくないのに、イライラが止まらない。
「コンコン♪」
ドアがノックされる音。
「……はい?」
返事をすると遠慮気味にドアが開けられた。
「蒼?ちょっといい??」
顔を覗かせたのは麻緋だった。
なんとなく分かってたけど。
「なに?」
なんでだろう、麻緋を見てもイライラがおさまらない。
「うん……あのね??」
麻緋は何か言いたそうなのに、言いづらいことなのか次の言葉が続かない。
「なに?」
もう一度訊ねると麻緋はそっと手を差し出してきた。