汚レ唄
結局、祐君のメールを返せないまま次の日がやってきた。
あんなに、自分からメールしてみようって思ってたくせに。
なんて送ったらいいのかわからなかった。
祐君はいい人だと思う。
それに優しい人だと思う。
だけど、なんだろう……。
良い人すぎて警戒してしまう。
なんだか1歩離れたくなる感じ。
境界線を引くっていうか。
いつから私はこんなに卑屈になったんだろう。
あ~……朝から自己嫌悪だぁ。
こんな時は背中も丸くなり、俯いて歩いてしまう。
「おっはよ!!」
「……うっ…那智……」
バンっと丸まった背中を叩かれ、背筋が伸びた変わりに思わず前によろけ、涙目になりながら振り返る。
朝から上機嫌な那智の笑顔。
「昨日、祐君とどうなったのよ」
……上機嫌の理由はそれか。
「メール……」
「うん♪」
「来たけど、返事してないんだよね」
バッコーン!!
「っ痛!!!!満面の笑みで頭叩かれるなんて思ってなかったんですけど」