汚レ唄
《蒼》1998【14歳】その5
「ったく、様子見に来てみりゃ、こんな所で寝やがって……」
様子がおかしいから来てみたら、麻緋は気持ちよさそうに寝ていた。
だからって無防備すぎる。
俺は部屋からタオルケットを持ってきて、麻緋にかけた。
「いくら夏だからって、風邪ひくっつーの」
バカは風邪引かないって言うけど、こんなところで寝てたらさすがに風邪も引く。
寝顔の見えるところに座ってみる。
どんな夢を見てるのか分からないけど、麻緋は笑ってた。
「よかったな」
幸せそうな寝顔。
頬を突っついてみる。
「ん〜……」
眉をひそめて寝返りをうつ麻緋。
ぶはっ!!面白い。
「……頼むから歌やめるとかいうなよ」
風でサラサラと流れる髪を指で梳かす。
俺はお前の歌が聴きたいんだから。
それに、遠くに行ってしまったけど、栗原先輩だってお前の歌が聴きたいから外国に戻ってくれたんだからな。
なんて、お前にはわかんないんだろうけど。
「……ん。あお、い」
「ん??」
なんだ寝言か。
「さってと、そいじゃ、俺は宿題の続きをしますか」
立ち上がり、アイスを冷蔵庫から取り出して自分の部屋に戻る。