汚レ唄

《麻緋》2000【18歳】



「なんでよっ!!」

「将来不安定な学校に通わせるお金は一銭もないって言ってるのよ」


「親だったら娘の夢を応援するもんじゃないの?!」

「お母さんは断固反対です!!」




最近、我が家はケンカが絶えない。


ケンカの原因は私の志望校のことだ。

私は歌が好きだし?


この先も歌と関わっていきたいって思うから音楽の専門学校へ行きたい。



だけど、親は将来を考えて手に職のつく学校にしなさいと一歩も引かない。


音楽の専門学校だって、充分将来性はあると思う。

ボーカル専攻でも、裏方の仕事も勉強できるシステムだってあるし、歌手になれなくても、裏方の仕事が出来るかもしれない。



「どうしても専門学校に行くって言うなら、美容の専門学校にしなさい」


お母さんは洗濯物を畳みながら私の目を見ないで言う。



「美容師になりたいんじゃない!!」

「とにかく、夢ばっかり見てないで地に足つけた将来を考えなさい」


私の話もろくに聞こうともせず、頭ごなしに反対する。



なんでわかってくれないの?




「それから……もう蒼連れて夜出て行くのはやめなさい。若い女の子が夜に出歩くなんて恥さらしもいいとこだわ」


「恥さらし?!私は私なりに夢に向かってんのよ!1人でも多くの人に私の歌を聴いてもらいたいって思って何が悪いの?!夢に向かうことを恥だといってるようなもんよ!!」


「あんたねぇ、テレビで歌ってる人なんて稀なのよ?こんな田舎育ちの田舎娘がなれるわけないでしょう!!」


「やってみないとわからないでしょ!!」



高校2年の夏くらいから学校は進路についての調査表やらなんやら定期的に配った。


私の第1志望から第3志望まで全て家から通える音楽の専門学校だった。


最初は軽く反対の意思を見せてた親だったが高校3年の夏になっても進路を変更する気のない私を見て、頑なに反対するようになった。


私はただ歌いたいだけなのに、なんでわかってくれないの?



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