汚レ唄
「そう??」
おばさんは立ち上がるとどこかへ歩き出した。
それを見送ってから、私も前を見た。
見間違いであってほしい。
そう願いながら家へと歩く。
足が重たい。
だけど、大丈夫だ。
いつかはこんな日が来るとわかっていたじゃないか。
いきなりだからビックリしたけど、大丈夫。
今、ここで見れたことを良かったと思わないと。
多分、家で会っていたら、今みたいになってた。
そしたら、みんなが驚く。
今見れてよかったんだ。
心の準備ができる。
きっと笑って祝福できる。
深く深呼吸をして落ち着く。
「よしっ」
気持ちを切り替えて歩き出す。
大丈夫。
私は上手くやれるから。
暗闇の中、ひっそり浮かぶ丸い丸いビー玉。
そのビー玉に一筋のヒビが入った。