汚レ唄
敵対心むき出しで自分よりも下に見てたけど、それは大きな間違いだ。
本当はこの人たち、すっげーすっげーかっこいいし、俺なんかよりも全然男らしい。
この人たちは麻緋に合ってるって思うし、恋愛なんてしてる間もなかったんだろうってこともわかった。
本当に音楽一筋で音楽しか見えてないんだろうな。
だから、こんなに凄い演奏ができるんだ。
「すっげーすっげーかっこいいっす!もっと聴きたい」
思わず身を乗り出して小さな子供のように催促をしていた。
「だろ?やっぱり観客がいると燃え方が違うよなぁ」
と拓斗さんは笑ってピースしてきた。
「常にこんくらいのスタンスでいたいんだけどな」
と静さんの額には汗が滲んでる。
なんかすげー色っぽい。
「でもさ、僕たちの音楽聴いてここまで感動してくれたら、すごい嬉しいね」
「そーだな。蒼!お前、暇な時は練習見にこいよ!お前がいたら、なんかすげーやりやすいし」
拓斗さんはそういうけど、肝心の麻緋は少し困ったように眉をひそめてる。