汚レ唄
これで本当に最後なんだなぁ。
もう、こんなにライブをする機会もないんだろうなぁ。
しんみりしながらメンバーと待ち合わせをした場所に向かうと、そこには……蒼がいた。
「なんで」
「なんでって最後だし、観に来いって拓斗さんが」
と、拓斗を見ると、椅子に座って蒼に髪をセットしてもらっている。
片方の髪を耳にかけ、派手な色のピンで留めてスプレーをしゅーっとかけている。
なんか、こうやってみると、蒼も美容師という道を嫌々選んだわけではないような気がしてきた。
私の早とちりなのかもしれない。
そういえば、よく私の髪を結ってくれるし。
「お~!すげーな。蒼!俺、超かっこいいじゃん!」