汚レ唄
「蒼は、美容師合ってると思う。蒼がちゃんと決めたことなんだもんね。なんていうか色々、偉そうなこといってごめんね」
そう言うと、蒼の手がぴたりと止まった。
また余計なこと言っちゃったかな?と思って振り返って蒼を見上げると、蒼は目を丸くして自分の手を不思議そうに見ていた。
「蒼?」
「俺、美容師が合ってるのかな?」
俯いてしまった顔。
そんな顔の口元はギュッと結ばれていた。
「髪、触るの好きでしょ?」
言った途端、蒼の顔が上る。
「……麻緋、前、向け」
「??……うん」
よくはわからないけれど、蒼は自分の選んだ道が正しかったのか不安だったのかな?
だったら私が言えるのは『間違ってないよ』ってことなんだって思う。