汚レ唄
「いやぁ~、さっきのパフォーマンス、すごかったよ」
と笑顔で手を差し伸べてくる。
なんか凄い人なんだろうか。
お互い顔を見合わせてみるが、答えはでない。
「私、こういう者なんだけど」
とスーツから取り出した名刺には誰もが知っている大手のレコード会社の名前と社長の文字が並んでいた。
「え?え?」
と状況についていけず戸惑っていると、おじさんが話しだした。
「いや、本当ならこういう交渉は部下がやるものなんだけどね。
この学校は母校でもあるから私が直接聞きにくるんだよ。
で、君たちの演奏を聞いて、いても立ってもいられなくなって呼び出してもらったってわけ」
「……それって?」
どういうこと?
歌い終わったこともあってか頭が上手く回転しない。