汚レ唄
進路希望の用紙が配られ、さすがになにか書かないといけない時期がきたし、親にちょっと相談してみれば、ここぞとばかりに『長男』とか言われて美容師の学校に行けと勧められた日にはもう……これでいいのか我が人生と過去の自分に問いただしたい。
麻緋のアレは、一種の才能だと思う。
だけど俺にはあーいうのは持ち合わせていない。
俺は本当に平凡で普通の高校生なんだ。
好きなことって言っても、麻緋の歌を聴くことか、雑誌見て服装の勉強をすることくらいだ。
なんもない。
誰かに胸を張って言えるような夢は何にもない。
だから、もういいかなって思った。
やりたい夢がないなら親のいう通りに進んでもいいのかなって。