汚レ唄


再び鳴り響くメールの着信音。


読むとそこには『早く食べよう』とお母さんからのメールだった。




大丈夫。




私はうまく笑える。



大丈夫。




心の中で何度も繰り返しリビングへと向かう。


ドアを開けようとしたその時、お父さんとお母さんの会話が聞こえてきた。






「……それが凄く感じのいい子で」

…彼女の話だ。


「へ~……会ってみたいな」

「今まで彼女がいた素振りとかみせないから、心配してたけど、5年も付き合ってるらしいのよ。
あの陸と5年もよ?
絶対いい子なのよ」




5年?

知らなかった。




じゃあ今まで、部屋から聞こえた電話の話し声は彼女へ向けての言葉だったの?




「5年か…そろそろいい年だし、結婚でもしてくれたら、後が楽になるんだけどな」





結 婚 ?



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