汚レ唄
何言ってんの??
結婚?
そんなの嫌だよ。
結婚なんてぜったいヤダ。
「でも、5年も連れてこなくて急に連れてきたってことは……本当に結婚ってこともあるんじゃないか?」
嫌だ。
「それが……陽菜に彼氏ができたみたいで、紹介するのに良い機会だと思ったみたい。陽菜に彼氏がいないのに、自分だけが付き合ってるのは悪いと思ってたみたいで」
……なにそれ。
心臓を誰かにギュッと握られてる感じ。
痛い……。
バカだよ。
お兄ちゃんはバカだよ。
祐君は彼氏じゃないって言ってんのに。
やっぱりわかってなかったじゃん。
「……っく……ひっく……」
1階では彼女の話題ばかり。
自分の部屋では彼女とお兄ちゃんの声が聞こえる。
居場所がなくなっていく。
私の居場所がない。
どこへも行けなくて、
どこにもいれない。
ここから消えたい。
そう思うのに、居場所が思い浮かばない。
墜ちていく……。
暗い暗い海の底に沈んでいくみたい。
息もできない
深い深い海の底へ
堕ちていく……。