汚レ唄
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「……────って、陽菜ちゃん聞いてる?」
「え?」
私の曖昧な返事を聞くと、男は笑いながら軽く溜息を吐いた。
「あ〜……うん、だからさ……」
どうでもいいけど、この人ナルシスト??
すぐ髪をかきあげる。
邪魔だったら切ってしまえばいいのに。
「陽菜ちゃん、俺と付き合わない?」
ハァ?なんでそうなる?
「私、そんな気ないから」
「ケチ。
俺、最近彼女に振られてさ〜。寂しいんだよね」
だからって、
知り合って数日
出会って半日。
そんな短時間でどこを好きになれるというのだろう。
ってか、振られてすぐに他の女と付き合おうとするなんて、本気で彼女のことを好きだったわけ?
こんな奴信用できるわけない。
「私、帰るわ」
……バカバカしい。
「えっえっ??陽菜ちゃん??
怒っちゃった??か〜わいい♪」
全く話を聞かないこの珍獣を放っておいて、帰ろうと先を急いだ。
「ちょっと??陽菜ちゃ〜ん??メール待ってるからね〜」
小さくなりゆく男の声を背に感じながら歩いた。