汚レ唄
「あ~……確かに陽菜の声と似てるね」
「そうか?俺にはピナの声にしか聴こえねぇけど?」
「あんたの耳詰まってるんじゃない?」
「んなっ?!」
那智と大輔君の口論を聞いていると、いつの間にか私が歌っていた歌は終わっていた。
「おい!ピナ!!ちょっとTSUBASAの曲歌ってくれよ!それで似てるか似てないか決めようぜ」
「……は?」
大輔君は勝手にTSUBASAの曲を入れるとドッカリ椅子深くに座り、耳に集中するためか、瞼を閉じた。
抵抗する間もなくイントロが流れ出す。
「……ぅあ~……、私TSUBASAなんて難しくて歌えないよ~」
そんな泣き言は誰も聞いてくれず、みんなが大輔君のように瞼を閉じている。