汚レ唄

「……っひっく……」



こんなに想っていても、お兄ちゃんは私よりも彼女を選んだ。


それに変わりはない。







ポタポタと缶の中に涙が吸い込まれていくように落ちていく。


この缶の中には、お兄ちゃんにもらったノートも鉛筆も、消しゴムも、キーホルダーもお兄ちゃんとの関わりが全部詰まっている。




なのに、今、私は1人。


ここに1人ぼっち。



昔の思い出を大事にとっているのも私だけ……。



「……っく……ひっく…

うわぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!

うわぁぁぁぁああああああ!!!!」



誰もいないなら、思いっきり泣いてもいいですか?


今まで泣けなかった分まで泣いていいですか?





“待って”も“行かないで”も言うことが出来ない私は弱虫ですか?



1人の夜が怖い私は、本当に1人だった。




涙が顔を濡らす。


拭っても拭っても止む事をしらない涙。




1人でいるとマイナス思考はすぐ傍までやってくる……






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