ヒミツの恋の方程式
掴んでいたジャケットを強く引っ張り、あたしに背中を向けていた黒あくまを向き直らせる。


「あんたなんか、大っ嫌い!!」


黒あくまをまっすぐ見上げ、ありったけの声でそう叫ぶと――…


落ちてきたのは、


「泣かせるのは嫌いじゃねぇって、言っただろ?」


そんな言葉と――…


「でも、泣き虫は――…」


頬にかかる大きな手。


「――泣き止ませる手間が、かかるからな?」


そんな意地悪な言葉を優しい声色で言って、黒あくまはあたしにキスをした。


「だろ?」

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