ヒミツの恋の方程式
「…え?」


そんなあたしの声が、


「敦、おまえ、何してんだよ」


ガラッと開いた扉の向こうの、聡の声と重なった。


カーテンなんかひいてなかったけど、デカい黒あくまの屈んだ背中しか、聡には見えなかったと思う。


でも。


直接、キスされたところを見られたわけじゃないけど――…


ぎゅっと握ったこぶしで唇を押さえたあたしの様子で、聡は、あたしと黒あくまの間で起こったことを理解した。

< 112 / 209 >

この作品をシェア

pagetop