ヒミツの恋の方程式
体が。
体が、全然動かない。


金縛りにあったように、体全体が固まって。
指先さえも動かせない。


そんな中でも、今、唯一動かせるのは――…


「覚えてるだろ?」


目の前の、黒あくまを見上げる視線だけ。


せわしなく、きょろきょろと動かすあたしの視線に気づき、


「聡。
おまえの提案だ」


黒あくまは目線を床に座り込んだ聡に合わせ、口元をゆっくりと動かした。


「どっちが、南野雫をオトせるか――…。
“賭け”をしよう、ってな」

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