ヒミツの恋の方程式
でも――…


「“あの賭けはオレの負けでいい”だから、南野雫から手を引け――…。
なんて、この俺には通用しねぇんだよ」


チラリと余裕の笑みを聡に投げかけ、黒あくまはニヤリと笑った。


毒々しいまでの黒いオーラの中に、妖しい甘さを滲ませ――…


「ここからは、本気で行かせてもらうとしよう」


メガネをスッとはずして、整いすぎた顔を晒す。


「この意味が――…
おまえにわかるか?
南野雫」


メガネがなくなったことで冷たさが減り、代わりに、わずかの華やかさを湛えた顔で、黒あくまは、あたしに向き直った。

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