ヒミツの恋の方程式
その、ゾクリとした感触に、小さく身震いする。


そんなあたしを自由にすることなく、黒あくまは真剣な顔であたしの瞳をのぞきこんだ。


「いくら“元”とはいえ。
兄貴が弟に負けたら、ダメだろ?」


「や…
そんな…
全然関係ないし…」


ふりほどこうにも、黒あくまの力はすごく強くて。


「それが、あるんだな?」


ドス黒いオーラも、


「売られたケンカは買わなきゃな?
そうだろ?賞品ちゃん」


ドス黒い口調も。


「…っ」


いつもの比なんかじゃなくて。


あたしは黒あくまの手から逃れることができなかった。

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