ヒミツの恋の方程式
黒あくまは、あたしを離した手でポケットを探り、もう1本タバコを出して、口に銜えた。


「“親の犠牲の上に成り立つ幸せを手に入れる”
それぐらいの覚悟で始めた恋だったんじゃねぇのか?」


黒あくまは、蔑むような眼差しをあたしに向けた。


「それとも、聡のことは遊びだったか?」


「そんなことっ…」


「でも、おまえ。
引いたよな」


「…?」


「聡は俺との賭けでおまえに近づいた。
そう言ったら、おまえ、確実に引いたよな」

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