ヒミツの恋の方程式
天使の誘惑
なにがなんだか、わけがわかんない。
「さて…と。
これぐらいでいいか。
ほら、さっさと教室に帰れ!」
理不尽な言葉とともに、ぽーんと放り出されるように黒あくまに解放されてから、よろよろと――…
北校舎端の階段から教室に向かう。
なんのことはない。
黒あくまがあたしを連れていったのは、視聴覚室や美術室、音楽室なんかがある、ただの北校舎。
そんなことにも気がつかないなんて、あたしってば、毎日なにを見て暮らしてたのか。