ヒミツの恋の方程式
「離して。
下りる!」


聡の首の後ろにまわしていた腕を思い切って離したら――…


「いいよ?」


聡からは、あっさりと、そんな言葉が返ってきた。


「へ?
いいの?」


あっけにとられて、つい、そんなことを口走ってしまう。


だって、今までの流れからすると――…


「ダメって、抱き締めてほしかった?」


聡は、あたしが想像したセリフを口にして、


「それとも――…」


次の瞬間、あたしが想像した以上の言葉を口にした。


「2人っきりの空間に連れ去って、そこで狼に変身してほしかった?」

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