ヒミツの恋の方程式
「ちゃんと目ェ開けて――…」


聡は、あたしが目を閉じることさえ許してくれなくて、それどころか掴んでいたあたしのあごをクイっと上に持ちあげた。


「――オレを見て」


「…っ…」


あたしを見下ろす聡の瞳には、あたしだけが映っていて――…


あたしは恥ずかしさのあまり何も言う事ができなくて、ただプルプルと震えた。


そんなあたしの様子を、聡が二重の大きな目を細めて満足そうに見下ろした時――…

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