ヒミツの恋の方程式
ガチャ…
ガチャン…


階下でドアの開く音と閉まる音が聞こえた。


“あ!
ママが帰ってきた!?
ふぅ…
助かったぁ…”


緊張から開放されて、体の力がストっと抜ける。


だって、さすがの聡でも、ママがいる家の中では何もできるはずがないもんね。


だからいつも、このタイミングで、聡はあたしを解放してくれる。


だから今日も――…


そう思ったあたしの目の前が、


「甘いな、雫」


そんな聡の声とともに、一瞬でくるっと回転した。

< 44 / 209 >

この作品をシェア

pagetop