数学?ううん、先生。
「…小林さん?」
………はっ
な、なにしてんの私は!!
私は勢いよく掴んでいた手を離した。
「ごごごごめんなさい!」
「どーした?」
あまりにどもった私を不審に思ったのか、先生は急に顔を覗き込んできた。
俯いていた私は先生と
目が合って、顔が熱くなるのを感じた。
「ちょ、先生…見ないでよぉ」
私は先生をちょっと見上げて
睨みながら言った。
「っ…」
「先生、私やっぱ帰る!
また次の補習でっ」
「え、ちょ…!」
私は先生の言葉も聞かず
走り出した。
もうダメだ。
先生の顔見れない。
手なんか急に掴むなんて
絶対おかしいじゃん…!
気持ち、気づかれてないよね…?