数学?ううん、先生。
χ=夏休み③
走って家に帰って
制服も脱がないままベッドにダイブ
家には誰もいないけど
枕に顔を押しつけて声を殺して泣いた
「もう…やだ…」
あんな必死に言い訳したら
気持ちバレちゃってるよね…
泣きつかれて瞼を閉じると
帰り際に見た先生の顔が浮かんで消えない
ガチャッ
玄関が開く音がして
お母さんの声が聞こえてきた
「入って入って〜」
お客さん?
……私の嫌いな声だ…
もしかして…!
「や、やだ!待って…」
「唯ちゃーん?リビングに来てくれない?お客さんだから」
その言葉に心が冷えきるのを感じた
お母さんは紹介する気なんだ…
「…うん…分かった…」