数学?ううん、先生。
やだ…やだよ……
私どうゆう顔すればいいの…?
お母さんはきっと、
私がトオルって人のこと知ってるって思ってない…
知らなかったふり…?
もう、分かんない…
分かんないよ…
私は制服のまま
ゆっくりとリビングに通じるドアを開けた
「あ、唯ちゃん」
お母さんの声に顔を上げた
すると、お母さんの向かいに座っていた男の人と目が合った
「こんにちは唯ちゃん」
その人は笑った
私は黙って会釈して
お母さんの方を見た
「唯ちゃん、ここ座って」
「…………」
私はお母さんの隣に座った
「この人は柿本透さん」
「…お母さんの大事な人なの」
柿本…トオル…
お母さんの、
大事な人…………