数学?ううん、先生。
「柿本透です。
よろしくね、唯ちゃん」
誰?
馴れ馴れしく呼ばないでよ
あんた誰なの?
どうして家に来たの?
お母さん…
どうしてこの人連れてきたの?
「あのね?唯ちゃん…
彼は唯ちゃんのお父さんになるの……」
私はやっと顔を上げた
お母さんは少しはにかんでいた
柿本さんも
照れ臭そうに笑っていた
私は無表情
そんなリビングを
私はどこか別の所から見ていた
「唯ちゃんは…もう中3だし、
分かってくれると思うけど…」
中3だから?
だからなんなのよ
頭、可笑しいよ
「うん…いんじゃない…
お母さんの好きにしなよ…」
私はそう言うのがやっとだった
声震えてたかも…
「本当?よかったぁ〜
透!!よかったね〜っ」
「だなぁ」
けど…いっか
この2人、
私が泣いてるのも気づかない
私は静かにリビングを出た