数学?ううん、先生。
手の中の携帯が震える
ディスプレイにはまた、先生の名前
それだけでいちいちドキドキして
ディスプレイを写メっときたくなった
私重症…!!
私は震える指で通話ボタンを押した
「先生…」
『小林さん?カーテン』
「カーテン…?」
『カーテン開けて』
よく分からないまま
窓に近づいて、恐る恐るカーテンを開けた
そこには1台の車……
学校でも有名なBMWの5シリーズ……
稲垣先生の、愛車
BMWの前には立っている先生の姿
私はすぐに1階に降りた
リビングからは
お母さんとあの人の笑い声が聞こえたけど、そんなこと気にならなかった
一応気づかれないように、
静かに玄関を出た
「先生っ!!」
「……さっきぶり」
先生は少し笑って言った
「なんで?なんで先生が…」
私は思っていたことを口にした
「…小林さん泣いてるかと思ったから」
私…生徒だよ?
何百人もいるうちの1人…
先生のクラスでもないのに…
自惚れちゃうじゃん…
そんなことが
頭の中を駆け巡った
けど、そんなの言えるわけなくて。
やっぱり、嬉しさが勝って。
また涙で先生が滲んだ