数学?ううん、先生。
「先生…っ…も、…やだ…」
「……話せるか?」
「…っうん…」
先生は泣き出した私の腕を引っ張って車の助手席に乗せた
そしてドアを閉めて
先生も運転席に乗り込んだ
「先生…いいの?」
「ん?なにが?」
先生はキーを差しながら言った
「…生徒の私が、助手席なんかに乗っちゃって…」
「…そんなこと気にしなくていーの」
「そんなことって…
先生の…彼女さん、嫌がるよ…」
彼女さん…
綺麗な人だろうな…
先生に似合う、スラッとしたモデルさんみたいな大人の女性…
比べるのも申し訳ないけど、ね
「…俺彼女いないけど」
「へ!?いないんですか!?」
「まぁ…って別にそんな話いーだろっ車出すぞ」
「えっ先生〜!!」
先生は黙ってハンドルをきった
……さっきまでの涙は
とっくにどこかに行っていた
私って現金…
先生に彼女がいないって分かっただけで元気出た…
だからって
私が彼女になれるわけないのにね?