数学?ううん、先生。



「先生…っ…も、…やだ…」


「……話せるか?」


「…っうん…」



先生は泣き出した私の腕を引っ張って車の助手席に乗せた


そしてドアを閉めて
先生も運転席に乗り込んだ


「先生…いいの?」


「ん?なにが?」


先生はキーを差しながら言った


「…生徒の私が、助手席なんかに乗っちゃって…」


「…そんなこと気にしなくていーの」


「そんなことって…
先生の…彼女さん、嫌がるよ…」


彼女さん…

綺麗な人だろうな…

先生に似合う、スラッとしたモデルさんみたいな大人の女性…


比べるのも申し訳ないけど、ね


「…俺彼女いないけど」


「へ!?いないんですか!?」


「まぁ…って別にそんな話いーだろっ車出すぞ」


「えっ先生〜!!」


先生は黙ってハンドルをきった


……さっきまでの涙は
とっくにどこかに行っていた


私って現金…

先生に彼女がいないって分かっただけで元気出た…


だからって
私が彼女になれるわけないのにね?





< 63 / 73 >

この作品をシェア

pagetop