数学?ううん、先生。



「…私…どうしていいか分かんないの」


「……………」

「もし、お母さんがあの人と再婚して一緒に住むことになったら……私…家に居たくない…」


「小林さんは…」


ずっと黙って聞いていてくれた
先生がやっと口を開いた


「小林さんは、お母さんのこと好きか?」


「え…?」


「好きにしなよって言ったのは
なんでだ?」


「……お母さんのこと嫌いなわけないよ…
ずっと2人で暮らしてきて…
たった1人で私のこと育ててくれて…」


「………うん」


「…好きにしなよって言ったのは反対する理由が…なかった…っ」


「理由…?」


「…ぅん…お母さん、は…ひっ…く…仕事や…私のことで手いっぱいで……っ」


「うん…」


先生の相づちが心地いい


「自分のっ…好きなこと出来な、かったと思う…っから……うぅ
恋愛くらい……して欲しい…」


「………ん」


「ちゃんと…っみと、認めて…あげたいのにぃ…っ」


「そうだな…」


「…ぅう〜…グズッ…っひ…」


「大丈夫…小林さんは自分の気持ち、ちゃんとわかってる」


「せん、せ…っ」


「今俺に言ったこと、お母さんに伝えられるよな?」


「……うん…っ」


私が頷くと、頭の上に先生の暖かい手が乗った

顔を上げると
先生は優しい目で私を見つめていた


今だけ…いいよね…?




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