数学?ううん、先生。
「…う〜〜っ」
涙が止まらないぃぃ〜
ボロボロ泣く私を見て
少し慌てる先生
ちょっと面白い…
「えっ小林さん…」
「やだ。小林さんなんて」
私がそう言うと
先生は頭をかいた
照れてる…?
「唯」
唐突に呼ばれた名前
ここまで自分の名前が好きになったことって…ないよ…
さすが、先生
「先生…だいすき…」
「…唯っ」
私は再び先生の力強い腕に包まれた
「唯…この先、教師である俺と生徒であるお前が一緒にいるのは
簡単なことじゃない…」
「………うん…」
わかってる…
わかってるよ…
「でも…俺は唯と一緒にいたい」
先生………
「わ、私も…!!!
先生のそばに、いたい…」
まだ、信じられない…
先生がそんなこと言ってくれるなんて…
でも
私の気持ちは変わらない
「もう…後戻り出来ないぞ…?」
「…後戻り?」
「…もう唯を、生徒として見れない」
「…私だって…もう先生……
……和也を教師として見れないよ?」
“和也”
くすぐったい…
何回も心の中で呼んでみた名前
はじめて声に出した