alternative
「了解」

皓と奈々が対峙していた500メートル先。

奈々と同じように迷彩処理を施し、樹上でスナイパーライフル(狙撃銃)を構えていたラルフが歩いてくる。

皓と奈々がとっていた戦術を両方ともとり、尚且つ遠距離から銃火器で攻撃するという戦法をとっていたのだ。

「ずりぃよラルフ、銃なんてさぁ」

口を尖らせる皓。

「それは違うな、皓」

時雨が彼の意見を否定した。

「我々がやっているのはスポーツでもルールのある試合でもない。戦争であり殺し合いだ。AOKは手段など選ばんぞ。一人の相手に群れで襲い掛かる事もあれば、分泌物を流し込んで毒殺もする。その時になって、『毒殺など非人道的だ』とでも言うのか?」

時雨の言葉に皓は押し黙る。

「銃火器はAOK戦では致命傷を与える事はできないが、遠距離から一方的に攻撃できるという点に関しては有効だ。第207訓練分隊は主兵装は軍刀だが、各自射撃の訓練もしておくように」

「という訳だ、悪いな、皓、奈々」

釈然としない表情の二人の頭を、ラルフはポンと叩いた。

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