alternative
ひらけたスペースにいたのは、無数のAOKだった。

百か、二百か。

いや、もっといるかもしれない。

醜悪な姿の白い化け物どもが、寄り添うように、ひしめくように、一所にかたまっている。

ここはちょうど、AOKの集落なのかもしれない。

長い尻尾を揺らめかせながら、時折小さく声を上げ、身を寄せ合うAOK達。

…その集団の中心に、一際大きな個体がいた。

身の丈5メートル前後。

あの写真で見た未確認の大型AOKがそれであるのは一目瞭然だった。

これまでに目撃されたAOKをそのまま大型化したようなその姿。

ただ一つ他のAOKと違うのは。

(あれは…!)

ラルフが息を飲む。

大型AOKの尻尾、その先端がチューブのような形状になっていた。

そのチューブが時折収縮と膨張を繰り返したかと思うと、粘液に塗れた塊をボトリと吐き出す。

「……~~~~っ!!」

思わず声なき悲鳴を上げる。

大型AOKの尻尾はそのまま、卵管の役目を果たしていた。

つまりあの大型AOKは雌であり、この場にいるAOKの群れ…もしかしたら日本に存在する全てのAOKの『母親』なのだ。

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