alternative
心臓がはち切れそうなほどの全力で、二人は険しい山道を走る。

当然AOKも見逃してくれる筈がない。

奇声を上げながら、獰猛な本性を剥き出しで追跡してくる白い殺意の塊。

あの『母親』に寄り添っていた群れだけでなく、どこに潜んでいたのか、茂みや樹上からも次々とAOKが出現し、時雨とラルフの前に立ちはだかる!

「そこをどけぇっ!」

時雨が剛腕で軍刀を振るい、目の前のAOKを一刀両断する!

ラルフは後方に近づきつつあるAOKをアサルトライフルで掃射しつつ。

「こっちもか!」

素早くもう片方の手でデザートイーグルを抜き、飛び掛かってくるAOKの頭を吹き飛ばした!

デザートイーグルの威力は凄まじく、一発でAOKは一時行動不能になる。

しかしこれだけのダメージを与えても、彼らは決して死にはしない。

時間はかかっても再生し、必ず再度襲い掛かってくる。

二人にできる事は一時的にAOKを足止めし、この場から一刻も早く撤退する事だけだった。

やがて、ヘリの滞空している回収地点(リカバリーポイント)が見えてくる。

「教官、もうすぐです!」

追いすがるAOK達を射撃で牽制しながらラルフが叫ぶ。

「貴様が先に行け!私が援護する!」

軍刀を自在に扱いながら、時雨がラルフの背後を守る。

着陸したヘリに乗り込むラルフ。

その後ろで。

「ぐはっ!」

声がした。

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